泳ぐ速さを決める3要素:まとめ

こんにちは、koheyです。

 

 

今回はこれまでのまとめをお話
していきます。

 

まず、泳ぐ速さを決める要素という
ものがありました。

 

  • 推進力
  • 抗力
  • 慣性パラメータ(身体特徴)

 

の3つです。

 

簡単に説明します。

 

推進力は体を前進させる力。
推進抗力が大きいほど、
推進力は大きくなる。

 

抗力は泳ぎを妨げる抵抗となるもの。
減らすべき抗力(被抵抗)と
増やすべき抗力(補抵抗)がある。

 

慣性パラメータは泳ぐ人の体重と
水の付加質量のこと。
水の付加質量は体重によって決まる。

 

といった具合です。

 

分かりやすく書けたでしょうか?

 

 

ここから言えることは、

 

速く泳ぐためには、

  1. 推進力を増やす
  2. 抗力を減らす
  3. 推進力を増やし、抗力を減らす

 

ということです。

 

慣性パラメータは、かっこ書きで
身体特徴と示してあります。

 

体重の増減は可能ではありますが、
あくまで身体特徴のひとつであるため、
理想形にコントロールするのは
なかなか困難です。

 

※(もちろん理想形に近づけるよう
 努力することは必要です)

 

そのため、泳ぎ方の変化によって
向上させることのできる項目のみを
示しました。

 

 

次回は「揚力」についてお話します。

ではまた!

泳ぐ速さを決める3要素:No.3『慣性パラメータ(身体特徴)』

こんにちは、koheyです。

 

 

今回は『慣性パラメータ(身体特徴)
についてお話します。

 

慣性パラメータとは、
泳ぐ人の質量(体重)と、水の付加質量のこと

 

人は水中を動くとき必ず、周りの
水を引きずっています。

 

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この引きずっている水の量を、
水の付加質量といいます。

 

 

引きずられる水の量は、人の体重
によって決まります。

 

女性で、体重の約24%

男性で、体重の約27% の水が引きずられます。

 

つまり、体重が重いほど、引きずられる水の量は
多くなるんです。

 

水を引きずるということは、おもりを
つけて泳いでいることと同じですから、
当然スピードは落ちます。

 

「必要以上に筋肉をつけないほうがいい」

 

そんな意見を聞いたことがあるでしょう。

 

それは水の付加質量が増えてしまうこと
を危惧しているのです。

 

 

次回は、これまでのまとめをお話したいと
考えています。

 

今回も最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。

 

 

ではまた!

泳ぐ速さを決める3要素:No.2『抗力』推進抗力

こんにちは、koheyです。

 

 

今回は“抗力”の「推進抗力」について
お話します。

 

 

私がこれまで説明してきた抗力を
覚えていますか?

 

流水抵抗

摩擦抵抗

圧力抵抗

造波抵抗

の4つです。

 

これら4つの抗力を私は、被抵抗
と呼びます。

 

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対して今回説明する推進抗力を、
補抵抗と呼んでいます。

 

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引用https://www.natsume.co.jp/books/1903

 

被抵抗とは減らすべき抗力のこと

 

補抵抗とは増やすべき抗力のことです。

 

そして、今回紹介する推進抗力とは、
推進力を生み出すために必要な抗力の
ことです。

 

3回目の「推進力」についてのブログ
でも触れましたが、

 

推進力を生み出すには、進行方向
と逆の方向に力を加える必要があります。

 

作用・反作用の法則です。

 

より大きな推進力を生み出すには、
水を押し出す腕にかかる抵抗が増える
必要があります。

 

つまり推進抗力が大きくなる必要
があるのです。

 

水ととらえろという指示は、推進抗力を
大きく保てという意味になります。

 

 

次回は「慣性パラメータ」について
お話します。

 

ではまた!

泳ぐ速さを決める3要素:No.2『抗力』造波抵抗

こんにちは、koheyです。

 

 

今回は“抗力”の「造波抵抗」について
お話します。

 

造波抵抗とは、泳動作によって生まれる
波が進路を妨げることをいいます。

 

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より大きな波が生まれれば、造波抵抗も
大きくなります。

 

また、大きな波を生じさせるのにも
エネルギーが必要です。

 

本来は前進に使うはずのエネルギーが
波の発生に使われることになって
しまいます。

 

これでは効率が悪いですよね?

 

 

実際にデータを分析すると、速い選手も
ストロークのテンポや、ストロークの数
は他の選手と変わらないことが多いです。

 

しかし、一回のストローク効率が高い
ため、一回のストロークで遠くに進む
ことが出来るのです。

 

 

造波抵抗を減らすには、発生させる波
を最小限に抑えることが重要です。

 

そのためには、以前の「摩擦抵抗」や
「圧力抵抗」の知識を活用して、波の
発生を抑える泳ぎ方を考えることが
大切です!

 

 

それでは、次回は“抗力”の最後
の要素『推進抗力』について
お話します。

 

 

ではまた!

泳ぐ速さを決める3要素:No.2『抗力』圧力抵抗

こんにちは、koheyです。

 

 

今回は“抗力”の「圧力抵抗」について
お話します。

 

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圧力抵抗は、身体の前端と後端の
圧力差によって生じます。

 

身体の前端は流水抵抗を直に受けると共に
体の側面で摩擦抵抗を受けているため、
高圧になります。

 

身体の後端は水が体の側面を通っている
ため流水抵抗を直に受けません。

 

したがって身体の後端は、前端よりも
低圧になります。

 

前端が高圧、後端が低圧


この状態だと、体は前からの圧力に
耐えられず後ろへ流されてしまいます。

 

これが圧力抵抗となります。

 

圧力抵抗に限らず、抗力を完全に
ゼロにすることはできませんが、

 

圧力抵抗は泳ぎ方によって減らす
ことができます。

 

身体の前端と後端の圧力差を可能な
限りなくすことです。

 

基本的に身体の後端は圧力の変動が
少ないので、前端の圧力を減らすよう
工夫する必要があります。

 

身体の前端ですので、上半身の動きや
姿勢を改善します。

 

圧力を減らすには、
正面から見た場合の面積を小さくする
ことで対応できます。

 

(※下線部、以降は「前面投影面積」と表記します)

 

気づいた方がいるかもしれないので、
ここで釈明しておきます。


私が云う“流水抵抗”、厳密には
「圧力抵抗」の一部なのです。

 

本来、泳ぐ速さを決める要素である抗力
を考えるうえで「流水抵抗」という概念は
存在しません。

 

なぜなら私の造語だからです。

 

(※流水抵抗という言葉は元からあります。
  本来はタイヤなどでよく使われる用語です。
  水泳ツールのパッケージなどで使われること
  はありますが、私の使い方が本来の意味と
  違うということです。)

 

どういうことかと言いますと、

 

「流水抵抗」は、面積が大きいと
水に押される

 

「圧力抵抗」は、前端が高圧で後端が低圧
だと水に押される。

 

 

「流水抵抗」の前面投影面積が大きい状態
というのは、「圧力抵抗」の前端が高圧
状態
と同じなのです。

 

少しややこしいですね、

 

頑張って手短に終わらせるので、
もう少し我慢してください。

 

先ほどの説明、圧力抵抗の性質を考えると
矛盾している部分があるのです。

 

「圧力抵抗」は前端が高圧、後端が低圧
生じますが、

 

前端が高圧で、後端も高圧だったら
どうでしょう?

 

前後の圧力は釣り合っているため、
圧力抵抗はゼロになります。

 

実際にはありえませんが理論上
では成り立ちます。

 

さらに言うと、
どれだけ前端の抵抗が大きくても
前端の方が低圧で、後端が高圧だったら

後端からの圧力で、何もしなくても
推進力が得られることになります。

 

これもまずありえませんが、理論上
成立します。

 

 

そのため、「流水抵抗」の
前面投影面積が大きいほど抵抗が増える

というのは、

 

間違ってはいないが不完全である
と言えるのです。

 

 

なぜ私が「圧力抵抗」を
「流水抵抗」と「圧力抵抗」というふうに
分けたのか、

 

それは、「抵抗」の
“前から押される”、“進路の妨げになる”
という「抵抗らしさ」のある概念を生み
出したかったからです。

 

圧力抵抗の本質を理解するのに私自身
苦労しました。

 

難しい用語も多く、「抗力」というもの
自体に様々な形があり、分かりにくいと
感じました。

 

そこで、「抵抗」という言葉の
言葉らしさを分かりやすく表現する
方法を考え「流水抵抗」と説明する
ことにしました。

 

ここまでの説明の長さで、もう十分
分かりにくくなった方も多いと思います。

 

大変失礼しました。

 

圧力抵抗に関しては、今後の記事でも
適宜説明を加えていくので、難しいから
と投げ出さずに向き合っていってくれると
嬉しいです。

 

きっと、自身の泳力向上につながります。

 

 

次回は「造波抵抗」について
お話します。

 

次はもっと短いものを考えているので
安心してくださいね。

 

 

ではまた!

泳ぐ速さを決める3要素:No.2『抗力』摩擦抵抗

こんにちは、koheyです。

 

 

今回は“抗力”の「摩擦抵抗」
についてお話します。

 

 

摩擦抵抗は、身体と水がこすれる
ことで生じる抵抗のことです

 

体の表面と接している水の層のことを
「境界層」といいます。

 

境界層では水は体の表面に引っ張られる
形で、体と同じ速度で同じ方向へ移動
します。

 

境界層より外側の水の層は、境界層
によって体から隔てられているため、

体とは逆の方向へ移動します。

 

この水の層が体を後方に引っ張る形で
抵抗を生みます。

 

この抗力に関しては、選手の泳ぎ方や
レーニングで大きく変えることは難しい
です。

 

しかし、身体のメンテナンスやツール
の使い方である程度抵抗を軽減すること
が出来ます。

 

まず、身体の産毛は剃りましょう。

 

産毛は境界層を失くし、体の後ろへ
なびく水の量を多くします。

 

 

また、現在の水泳競技において水着
も重要な要素です。

 

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メーカーによって多少の違いは
ありますが、


試合用の水着は表面生地の素材
によって摩擦抵抗を抑える働き
をします。

 

泳ぎ方で摩擦抵抗を軽減するのは
限界があるため、より速い記録を
求める選手は試合用の水着を使用すると
いいでしょう。

 

補足ですが、水着の締め付けや水中
での動きやすさなどで好みが分かれる
ため、自分に合った水着を着用する
ことが大切です。

 

 

次回は「圧力抵抗」についてお話します。

ではまた!

速く泳ぐための3要素:No.2『抗力』流水抵抗

こんにちは、koheyです。

 

 

今回は“抗力”の「流水抵抗」
についてお話します。

 

流水抵抗は、身体を正面から見た
場合の面積が大きいほど増加します。

 

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試しに、水中でビート板を立てて
前に押してみてください。

 

だいぶ力を使うと思います。

 

ビート板が立った状態は、水からの
圧力(流水抵抗)を受ける“面積”が
寝かせた状態よりも大きいため、
より前に進む力を必要とします

 

しかし、同じビート板でも横に
寝かせた状態なら、小さな力で
押すことが出来ます

 

水からの圧力を受ける”面積”が
小さいからです。

 

ビート板は極端な例でしたが、
身体にも同じことが起っています。

 

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1枚目と2枚目の画像を比べて
みてください。

 

受ける抵抗が少ないのはどちら
でしょうか?(流水抵抗のみ考慮)

 

1枚目は右腕が流水に対して垂直に
面を作っています。

 

これはビート板が立っている状態と
同じです

 

2枚目は左腕が伸びている分、
水からの圧力を受ける面積が小さい
です。

 

この画像だけ見れば1枚目よりも
2枚目の方が受ける抵抗が少ないと
言えます。

 

この質問では、流水抵抗に限定して
考えてもらいましたが、実際は他にも
様々な抗力が泳ぎを妨げます。

 

 

流水抵抗のみ考慮すれば2枚目の方が
抵抗が少ないように感じますが、

 

泳動作による造波抵抗や圧力抵抗
などを考慮すると、総合的に判断
して、呼吸動作が入っている2枚目
より1枚目の方が抵抗が少ないだろう
という見方もできます。 

 

 

難しい言葉が出てきましたね。

 

これらの抗力については、今後お話
していきます。

 

最後に、ある実験データを紹介します。

 

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姿勢だけで受ける抵抗にこれほど
大きな差が生まれるとは驚きですね。

 

 

次回は「水中摩擦抵抗」について
お話していきます。

 

長くなりましたが、お付き合い
いただきありがとうございます。

 

難しく考えず、楽しく学んでいきましょう。

 

 

ではまた!